2014年、日本の3DCG映画の歴史を塗り替えた『STAND BY ME ドラえもん』の登場は、古くからのファンと大人層に強烈なインパクトを与えた。メガホンを取った山崎貴監督は、原作の珠玉のエピソードを一本の流麗な成長譚へと再構築してみせた。
特に『映画ドラえもん のび太の結婚前夜』を原案とするシークエンスは、観客の涙腺を容赦なく決壊させた。しずかちゃんの父親が娘に語りかける名台詞――「あの青年は人のしあわせを願い、人の不幸を悲しむことができる人だ。それがいちばん人間にとって大事なことなんだからね」。山崎貴の手腕は、原作に宿る情緒を3DCGのリアルな陰影と表情の機微で増幅させ、普遍的な家族愛のドラマへと昇華させた点にある。