「目が覚めたと思ったのに、まだ夢の中だった」「何度も同じ悪夢を繰り返す」という経験も、インフルエンザ患者から多く寄せられる訴えだ。クリストファー・ノーラン監督の映画『インセプション』で描かれたような重層的な夢の構造は、覚醒と睡眠の境目が曖昧になった脳が見せる典型的な誤作動と言える。
病床で横になりながら体を休める際、暗い部屋でスマホを眺めたり、回復期の退屈しのぎにNetflixで刺激的な動画を鑑賞したりする行為は、覚醒度を無駄に高めてしまう。視覚刺激を受けた脳が高熱状態で半覚醒に陥ると、意識は現実に戻ろうとあがく一方で、体はレム睡眠の金縛り状態に閉じ込められる。このミスマッチが、終わりのない階層構造の夢体験や、夜中に大声でうなされる原因となるのだ。