高い場所に立った時、脳内では一体何が起きているのか。鍵を握るのは、恐怖や不安といった原始的な感情を司る「扁桃体」という部位だ。高所からの視覚情報が網膜に入った瞬間、扁桃体がこれを生命の危険と誤認し、交感神経へ向けて過剰な警戒警報を発令する。
この時、身体は即座に闘争か逃走かの体勢に入る。脈拍が急上昇し、冷や汗が吹き出し、筋肉が硬直する。足がすくむのは、まさに落下を防ごうとする防衛本能の産物だ。しかし、最新研究により、視覚から得られる空間認知と内耳の平衡感覚のズレが扁桃体を過剰刺激することが明らかになってきた。