なぜ和三盆は高級なのか?砂糖との決定的な違いと職人技の真相

なぜ和三盆は高級なのか?砂糖との決定的な違いと職人技の真相

なぜ和三盆は高級なのか?砂糖との決定的な違いと職人技の真相について押さえておきたい ポイントを分かりやすく解説いたします。

和三盆という独特の名称は、かつて「盆の上で砂糖を三度研(と)ぐ」という工程に由来しています。この「研ぎ」と呼ばれる作業こそが、機械製糖では絶対に再現できない極上の粒子感と口どけを生み出します。

江戸時代中期、第8代将軍・徳川吉宗による享保の改革の一環として全国で甘味の国産化が推奨されました。当時、高松藩(香川県)の医者・向山周慶や、徳島藩の修験者・丸山徳寿らの情熱と試行錯誤によって四国での製糖法が確立されました。藩の財政を潤す重要産品となった砂糖の製法は「門外不出の極秘技術」として厳格に守られ、技術の流出を防ぐために厳しい掟が敷かれた歴史を持ちます。

製法は現在も極めて原始的かつ緻密です。収穫した竹糖を圧搾して煮詰め、結晶化させた赤褐色の原糖(白下糖=しろしたとう)を取り出します。ここからが職人の腕の見せ所となる「研ぎ」の工程です。

職人は白下糖に適量の水を加えながら、麻布や木盆の上で体重をかけて丹念に手で揉み込みます。この力加減と水加減は、その日の気温や湿度によって秒単位で見極めなければなりません。揉み込んだ砂糖を木製の圧搾器「押し舟」にかけてじっくりと糖蜜を絞り出し、再び取り出して研ぐ。この「研ぎと圧搾」を3〜5回繰り返すことで、茶色かった砂糖が徐々に淡い白茶色へと変化し、極めて微細な結晶へと研ぎ澄まされていきます。

機械で無理に遠心分離をかけると結晶の角が立ち、口に入れた際にザラつきが残ります。しかし、職人が手肌で慈しむように研いだ和三盆の結晶は角が丸く微細なため、体温に触れた瞬間、抵抗なく溶け崩れる奇跡の舌触りを獲得するのです。

松本 悠斗
著者

松本 悠斗

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。