他のヴィランたちが社会的・個人的トラウマから生まれた悲劇の産物であるのに対し、オール・フォー・ワン(AFO)は徹底して支配と奪奪を追求する「純粋な悪」として君臨した。他者の個性を奪い、人心を巧みに誘導して自らの駒として操る冷酷非情な知略は、物語全体に重苦しい絶望の影を落とし続けた。
しかし、彼のような圧倒的支配者の存在があったからこそ、虐げられた者たちが肩を寄せ合う「敵連合」の家族的とも言える奇妙な絆が際立った点も見逃せない。AFOという絶対的な影が存在したことで、物語の光と闇のコントラストはより濃密で多層的なものへと昇華されたのだ。