2026年代以降、裏社会を描くプラットフォームは映画館からグローバルな配信サービスへと決定的なシフトを遂げた。HBO Max(現Max)が手がけた大作ドラマ『TOKYO VICE』では、1990年代の東京を舞台に、アンダーグラウンドの暗闘と指詰めのカルチャーが緻密な時代考証とともに海外視聴者へ提示された。外国人記者の視点を通すことで、エキゾチックかつ異様な日本独自の因習として再定義されたのである。
一方、Netflixなどのグローバルプラットフォームで配信される近年のクライムサスペンスでは、ヤクザはもはや伝統的な組織ではなく、国際的な犯罪シンジケートや半グレ集団と交錯する存在として描かれることが多い。そこでは指詰めのような古典的儀礼は「時代遅れの遺物」として冷笑的に扱われるか、あるいは逆に様式美を強調するアイコンとして誇張されるという二極化が起きている。
世界的なコンテンツ消費の波に乗ることで、この文化はグローバルなポップカルチャーのコードとして定着した。しかしその結果、現実の日本社会で起きている組織の崩壊劇や、関係者が直面する法的な袋小路という真の実態は見えにくくなっている。