「自宅の中なら自由だが、一歩外に出れば罪になるのか」という疑問に対し、法的な判断基準はきわめて明快です。公の場で全裸になる行為は、日本の法体系において明確に刑事罰の対象となります。
中心となるのが刑法第174条に規定される公然わいせつ罪の要件です。この罪が成立するためには、以下の3つの要素が厳格に審査されます。
- 公然性:不特定または多数の人が認識しうる状態にあること。実際に他人が見ていなくても、「見ようと思えば見られる状態」であれば成立します。
- わいせつ性:いたずらに性欲を刺激・興奮させ、普通の人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道徳観念に反すること。
- 故意:自己の行為が公然わいせつに該当する可能性を認識しながらあえて行うこと。
公然わいせつ罪の法定刑は「6月以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料」です。仮にわいせつ性の程度が低く、悪質性が軽微と判断された場合であっても、軽犯罪法第1条20号(公衆の目に触れるような場所でみだりに身体の一部を露出した者)に抵触し、拘留または科料が科されます。
法曹関係者の証言によると、近年増加している「全裸事件の経緯」で目立つのは、ホテルや自宅マンションのベランダ、大きな窓ガラス越しでの脱衣トラブルです。「プライベートな私有地の中だから問題ない」と誤認する人が多いものの、道路や隣接する建物から容易に視認できる構造である場合、裁判例では公然性が認められ検挙されるケースが頻発しています。さらに、スマートフォンでその姿を撮影しネット上にアップロードした場合は、わいせつ電磁的記録等公然陳列罪(刑法175条)が重畳的に適用され、最大2年の拘禁刑という重大な刑事責任を背負うことになります。