太宰治と三島由紀夫の確執は、いまや活字の枠組みを超えてグローバルな映像エンタテインメントの現場にも波及している。NetflixやAmazon Prime Videoをはじめとする巨大ストリーミングサービスは、近代文学の巨匠たちの複雑な精神構造や史実の衝突を題材にしたオリジナルコンテンツの制作を活性化させている。
海外のクリエイターにとっても、自己を晒し出す太宰の「脆さ」と、美を追求した三島の「剛毅」の対比は、現代のアイデンティティ危機を描くうえで格好のドラマ的素材だ。若い視聴者は配信ドラマを通じてかつての文学者たちの生き様に触れ、再び書店へと足を運んでいる。紙の書籍からデジタル映像へ。メディアが変われど、ふたりが遺した問いの普遍性は薄れるどころか、増すばかりだ。