インターネットや一部の旅行情報コミュニティでは、多賀宮にまつわる様々な俗説やオカルト的解釈が拡散されていますが、神宮の本来の信仰と照らし合わせた場合、誤解を解くべき点が幾つか存在します。
代表例が、多賀宮へ登る石段の途中にある「踏石(ふみいし・地蔵石)」と呼ばれる特定の敷石にまつわる噂です。ネット上では「人の顔に見える」「お地蔵様が埋まっているため踏んではいけない」といった奇説が広まり、一部の参拝者がその石の前で立ち止まって撮影したり不自然に跨いだりする光景が見られます。
神宮司庁の公式見解および歴史的史料において、この石にお地蔵様が宿っているといった事実や、踏むことを禁忌とする教義は存在しません。参道の敷石として自然石を敷き詰めた際、模様が偶然人面のように見えるだけの現象(パレイドリア)に過ぎません。むしろ参道の途中で立ち止まる行為は後続の参拝客の転倒を招く危険があるため、奇異な俗説に惑わされず、清らかな心持ちで通常の歩みを進めるのが正しい作法です。
また、賽銭箱に小銭を勢いよく投げ入れる行為や、個人的な欲望ばかりを一方的に羅列する参拝姿勢も慎むべきです。神道において「荒御魂」と対峙する際は、礼儀正しさと謙虚な姿勢が最も尊ばれます。