一般に「エコノミークラス症候群」として広く知られる病態は、医学的には深部静脈血栓症と肺塞栓症を一連の病態として捉えた静脈血栓塞栓症(VTE)に位置づけられる。航空機内だけでなく、長時間のデスクワークや避難所での車中泊など、膝を曲げた姿勢で長時間座り続ける環境が引き金となる。
世界保健機関(WHO)の報告によれば、4時間を超える長距離移動では発症リスクが急上昇することが判明している。厚生労働省も災害時における避難所環境や長距離移動時の定期的な足指運動、水分補給の徹底を繰り返し呼びかけている。下肢で育った血栓は、立ち上がった瞬間などの体勢変化に伴って静脈を駆け上がり、右心室を経由して肺の細い血管を直撃する。