メタルギアシリーズにおいて「死」は常にプレイヤーの隣にある。冷戦下のジャングルや孤立無援の要塞に単身潜入し、一歩間違えれば激しい銃撃戦の末にゲームオーバー画面へと叩き落とされる。だが、この極めてシリアスなゲームプレイの裏に、徹底して作り込まれた「死をも笑いに変える膨大なイースターエッグ(隠し要素)」が存在することはファンの間では周知の事実だ。
では、なぜ「おらは死んじまっただ」という東北弁のような響きを持つフレーズが、スネークの過酷な任務とリンクしたのか。発端を辿ると、複数の要因が複雑に絡み合っていることが分かる。第一に、シリーズ随一の通信バリエーションを誇る『MGS3』の無線通信集において、衛生兵のパラメディックや兵器開発者のシギントと交わされる脱力系のやり取りだ。映画オタクのパラメディックによる突飛な怪獣談義や、シギントを呆れさせる悪夢の告白など、命がけの潜入中とは思えない「迷言」が随所に散りばめられている。
第二に、ゲームシステムとしての「仮死」演出である。『MGS3』では、敵の目を欺くために自ら心肺停止状態を装う特殊アイテム「仮死薬」が登場する。服毒すると画面には通常の「GAME OVER」という血文字が現れるが、蘇生薬を使えば息を吹き返すという特異なギミックだ。この「死んだふりをして周囲をやり過ごす」という奇妙な緊張と弛緩のギャップが、プレイヤーの脳内で「死んであの世に行ったフリをする」ユーモラスなイメージと結びつき、ネットコミュニティにおける格好のネタとして定着していった経緯がある。