風邪や発熱時の水分補給として絶大な信頼を誇るポカリスエットですが、ノロウイルスやロタウイルス、細菌性感染症による感染性胃腸炎の急性期においては、その成分バランスが裏目に出てしまうことがあります。最大の要因は「高すぎる糖分濃度」と「電解質(塩分)の不足」です。
胃腸炎を発症している時、腸の粘膜は激しい炎症を起こし、本来持っている水分や栄養の吸収機能が著しく低下しています。この状態で糖分濃度の高い液体(ポカリスエットの炭水化物量は100mlあたり約6.2g)が腸管内に入ると、腸管内の浸透圧が急激に上昇します。すると、濃度のバランスを保とうとして腸壁から腸管の中へ体内の水分が大量に引き出されてしまう現象が起こります。これが浸透圧性下痢と呼ばれるメカニズムです。
点滴の概念から生まれたポカリスエットは、健康時や運動時の発汗によって失われた水分・エネルギーを素早く補給するために設計されています。しかし、下痢や嘔吐によって大量のナトリウム(塩分)とカリウムが失われている胃腸炎の身体にとっては、糖分が多すぎて電解質が足りないため、脱水症状を進行させる引き金になりかねないのです。