ネット上の料理コミュニティや質問サイトで最も多く寄せられる相談が、「卵スープが濁ってかきたま汁のようになってしまう」という失敗談です。卵スープが濁る失敗理由は極めてシンプルで、「卵を流し入れる前にスープにとろみをつけていないこと」と「投入直後に激しくかき混ぜすぎること」の2点に集約されます。
プロの厨房における鉄則は、「片栗粉が先、卵が後」という調理順序です。水溶き片栗粉(片栗粉小さじ1に対し水小さじ2)をあらかじめ沸騰したスープに回し入れ、しっかりと1分以上加熱して糊化(α化)させます。スープに適度な粘性(とろみ)がついていると、比重の重い生の溶き卵が鍋底に一気に沈下するのを防ぎ、スープの表面付近で対流に乗って薄い膜状に広がる物理的土台が完成します。
卵を流し入れる際は、鍋の中央で沸き立つ気泡の外側に向かって、細い糸を垂らすように「の」の字を描きながら回し入れます。投入後すぐに菜箸でかき混ぜてはいけません。2〜3秒静置して卵がふわっと浮き上がってきた瞬間に、火を止めてお玉で底から大きく1〜2回優しくすくい上げるだけで、羽衣のような繊細なテクスチャーが完成します。