シニア世代において便秘が慢性化しやすい最大の要因は、加齢に伴う大腸の機能低下です。大腸の筋肉が緩んで蠕動(ぜんどう)運動が鈍くなる弛緩性便秘は高齢者に最も多く見られ、便が腸内に長く留まることで水分が過剰に吸収され、硬くカチカチになった便が排出を阻みます。さらに、腹圧をかけるための腹筋群や骨盤底筋群の衰えが、排便の最後の押し出しを難しくさせています。
見落としてはならないのが、持病のために服用している薬剤の影響です。降圧剤(カルシウム拮抗薬)、パーキンソン病治療薬、抗うつ薬、頻尿治療薬(抗コリン薬)などは、自律神経や平滑筋に作用して腸の動きを著しく抑制します。複数の医療機関から多剤併用(ポリファーマシー)となっている場合、薬の相互作用によって頑固な便秘が誘発されているケースが目立ちます。
加えて、認知症と便秘の関連も臨床現場で強く指摘されています。認知機能の低下により、のどの渇きや便意そのものを自覚しにくくなるほか、トイレの場所や排泄動作の手順が分からず我慢を重ねてしまうことが排便リズムの破綻を招きます。また、腸内環境の悪化や腹部の不快感が、認知症の周辺症状(BPSD)である不穏や焦燥感、暴言の引き金になることも珍しくありません。