2000年代初頭、エンターテインメント・テレビ放送業界における細木数子の存在感は群を抜いていた。TBSテレビの『ズバリ言うわよ!』、そしてフジテレビジョンの『幸せって何だっけ 〜カズカズの宝話〜』など、冠番組はいずれも驚異的な高視聴率を記録。彼女の一挙手一投足が翌日の世論を動かすほどの社会現象となった。
当時のバラエティ番組は、彼女の歯に衣着せぬ毒舌と人生訓をエンタメとして極大化した。「地獄に落ちるわよ」という決め台詞は流行語となり、大物タレントや政治家までもが平伏する光景が日常茶飯事だった。しかし、その過激な演出の裏側で、彼女は綿密に自らのブランド価値を計算し尽くしていた。テレビ局側にとっても、彼女の出演は数字を稼ぎ出す絶対のキラーコンテンツであり、メディアと女帝は互いの利益のために強固な共犯関係を結んでいたのだ。