1883年に人形町で創業した「白山眼鏡店(しらやまがんきょうてん)」の歴史を引き継ぎ、1975年に上野でオリジナルフレームの製作を開始した白山春久。彼が一貫して追求してきたのは、眼鏡が主役になるのではなく、掛け手と一体化する造形美だ。
直線と曲線が絶妙に交錯するブリッジ、肌に馴染むアセテートの手触り、角を落とした細部の研磨。そのどれもが過度な自己主張を避け、掛けた瞬間に顔の輪郭へと溶けていく。ものづくりへの揺るぎない妥協なき姿勢こそが、長年にわたり本物を知るクリエイターや表現者たちを魅了し続けてきた理由である。