現代のエンターテインメント業界では、自己アピールや過剰な演出が先行する演技よりも、作品全体の構造を俯瞰して自らの役割に徹する「職人型俳優」の価値が急上昇しています。伊勢志摩という女優の本質は、「ナルシシズムを徹底的に排除し、役に自らを明け渡す覚悟」にあります。
昭和から平成、令和へと時代が移り変わる中で、観客の目は肥え、作為的な演技はすぐに見破られるようになりました。その中にあって、早稲田演劇とアングラ劇団の過激な洗礼を受け、どんな荒唐無稽な設定でも生身の人間のリアリティへと着地させる伊勢志摩の存在は、クリエイターにとって代えの利かない至宝です。