2017年3月、東京都写真美術館において山崎博の大規模な個展『山崎博 計画と偶然』が開催された。半世紀におよぶ彼のキャリアを網羅するこの展覧会は、結果として彼の生涯の集大成となった。個展開催の直後、同年6月に彼は70歳でこの世を去った。
展覧会のタイトルとなった「計画と偶然」は、山崎の作品世界を解き明かす最大の鍵である。
構造的フレームが生み出す「偶然の美」
撮影者は撮影場所、露出時間、画角といった「計画」を厳密に組み上げる。しかし、そのフレーム内で実際に何が起きるか――雲が太陽を遮るのか、波がどのようにうねるのか――は自然という「偶然」の領域に属している。厳密なシステムを用意すればするほど、そこに飛び込んでくる自然の不確定性が鮮やかに際立つ。山崎は計画と偶然がせめぎ合うその極限の一点に、写真表現の美学を見出していた。