認知症看護の現場で最も深刻な課題とされるのが、大声や徘徊、着脱衣の拒否といった「行動心理症状(BPSD)」だ。ケアを行おうとする職員や家族に対し、患者が暴力や暴言で抵抗してしまうケースは少なくない。これが介護者の燃え尽き症候群や離職の主因となってきた。
ここでユマニチュードの効果が如実に現れる。相手の同意を得ずに突然身体に触れる「侵入的なケア」をやめ、丁寧なステップを踏んで心を開くことで、BPSDそのものが大幅に低減するのだ。
介護・医療業界全体において、身体拘束や強力な鎮静薬に頼らない人道的なケアの実現は長年の課題であった。拒絶の言葉が「ありがとう」に変わる。その現場の変化は、看護スタッフのモチベーションを飛躍的に向上させている。