「ご飯の真ん中に梅干しを一粒載せてあるから大丈夫」「お酢を入れて炊いたから腐らない」という伝統的な知恵を耳にすることがありますが、ここには科学的な盲点が存在します。
梅干しに含まれるクエン酸や塩分に殺菌・静菌作用があるのは事実です。しかし、その効果が及ぶのは「梅干しが直接触れている半径数ミリ〜数センチの範囲」に限定されます。弁当箱の端にあるご飯や、隣に詰めたおかずに対して防腐効果を発揮することはありません。
梅干しの効果を全体に行き渡らせたい場合は、果肉を細かく刻んでご飯全体に均一に混ぜ込むか、梅酢をご飯に少量混ぜて炊き上げるといった工夫が必要です。
また、お酢を使った酢の物も、時間が経つと野菜から水分が染み出して塩分・酸度が薄まり、かえって菌が増えやすい環境になることがあります。お酢を利用する際も、水気を徹底的に絞り、すりごまや鰹節などを和えて余分な水分を吸わせる工夫が欠かせません。