この劇的な食事支援アプローチの原点にあるのが、オーストラリア・モナシュ大学のピーター・ギブソン教授らの研究グループが開発した「低FODMAP食事療法」だ。ギブソン教授らは、小腸で吸収されにくい短鎖炭水化物(発酵性小糖類、二糖類、単糖類、ポリオール)を総称してFODMAPと名付けた。これが現代の消化器内科学における大きなイノベーションとなった。
従来、腸の不調といえば「ストレス」や「気の持ちよう」の一言で片付けられる傾向が強かった。しかし、ギブソン教授らの臨床試験は、消化管内の分子レベルの挙動を解明することで、明確な食餌因子の影響を立証した。発酵性糖質が過剰に腸内へ流入すると、腸内細菌によって一気に分解され、大量のガス(水素ガスやメタンガス)を生み出す。この物理的な圧力が、知覚過敏を起こしている腸壁の神経を直撃する仕組みだ。