お酒に目薬を入れると眠くなる、あるいは下痢をするといった話は、昭和から平成にかけての夜の街や若者のコミュニティを中心に、まことしやかに語り継がれてきました。中には「合コンで意中の相手を酔い潰す裏技」「気に入らない相手への嫌がらせ」として面白おかしく紹介された過去もあります。
しかし、目薬には睡眠薬や下剤としての作用機序は一切存在しません。ではなぜ、このような都市伝説が定着してしまったのでしょうか。
最大の理由は、目薬に含まれるある特定の有効成分が体内に吸収された際、脳の中枢神経を強く抑制し、昏睡状態に似た虚脱状態を引き起こすためです。これを目撃した人間が「眠ってしまった」と誤認したことが発端とされています。また、激しい中毒症状として胃腸機能の障害や嘔吐、下痢を伴うケースがあることから、「下痢になる」という噂へ歪んで派生していきました。つまり、リラックスして眠気を誘うのではなく、体が毒物に侵されて機能停止に陥っている状態に他なりません。