一般社団法人日本人形協会などの専門機関が公式に解説している通り、雛人形における正しい呼び名と構造は、私たちが日常的に口にしている言葉とは大きく異なります。
雛壇の最上段に座る男性の人形は「男雛(おびな・お殿様)」、女性の人形は「女雛(めびな・お姫様)」と呼ぶのが正式な名称です。そして、この一対(2体)を揃えて呼ぶ名称が「内裏雛(だいりびな)」であり、これに敬称をつけた言葉こそが「お内裏様」です。
一方で「お雛様」という言葉は、女雛単体を指すものではありません。最上段の内裏雛をはじめ、三人官女、五人囃子、随身(ずいしん・右大臣左大臣)、仕丁(じちょう)、さらには嫁入り道具などの雛道具を含めた「雛壇に飾る人形・調度品全体の総称」を指します。つまり、「お内裏様とお雛様が並んでいる」と表現すると、言葉の定義上は「男女ペアと全体の集合体が並んでいる」という不自然な重複表現になってしまいます。