長年にわたり土曜の夜を静かに彩ってきたNHKの看板番組『ブラタモリ』のレギュラー放送終了は、視聴者に大きな喪失感を与えた。日本各地の地質や歴史を独自の視点で紐解き、専門家すら唸らせる知識の深さを見せていたあの散策は、単なる紀行番組の枠組みを完全に超えていた。
制作現場のスタッフによれば、ロケ地での彼は一切の台本を持たず、その場に刻まれた地球の記憶を五感で読み取っていたという。効率と即効性が求められる現代の映像制作にあって、ゆったりとした時間の流れを贅沢に使う試みは、まさに日本のテレビ業界における異例の成功例だった。ひとつの時代が区切りを迎えたことは確かである。