国語学的な見地から結論を述べると、「お義母さん」の正しい読み方は「おかあさん」である。「おぎぼさん」と声に出して読むのは誤りだ。同様に「お義父さん」の読み方も「おとうさん」であり、「おぎふさん」とは読まない。
日本語には、漢字単体ではなく二文字以上の組み合わせに対して特定の和語(訓読み)をあてる「熟字訓(じゅくじくん)」という言語体系が存在する。例えば「昨日(きのう)」「大人(おとな)」「煙草(たばこ)」と同じ仕組みだ。「義母」という漢字の並びに対して「母(はは)」や敬称付きの「おかあさん」という訓をあてたものが「お義母さん」の成り立ちである。
一方で、なぜ「おぎぼさん」という読み方が世間に蔓延してしまったのか。それは、公的な書類や第三者との会話で用いられる義母の読み方が「ぎぼ」という音読みであることに起因する。この「ぎぼ」という名詞に、丁寧さを添える接頭辞の「お」と接尾辞の「さん」を無理やりくっつけて「お+ぎぼ+さん」と読んでしまう現象が起きているのだ。しかし、これは国語辞典や用字用語の手引きに存在しない不自然な造語であり、会話で口に出すと教養を疑われかねないため注意したい。