小松左京の情熱は活字の世界にとどまらず、日本の映像文化にも計り知れない影響を与えました。その象徴が1984年公開の映画『さよならジュピター』です。ハリウッドの『スター・ウォーズ』に対抗すべく、小松左京自身が原作・脚本・総監督を務め、当時の日本の特撮技術を結集して本格宇宙SF映画の製作に挑みました。木星を太陽化して人類のエネルギー危機を救うという構想や、緻密な宇宙船デザインは、その後の日本のSFアニメや特撮作品の大きな礎となっています。
また、1985年に発表され日本SF大賞を受賞した『首都消失』も忘れてはならない名作です。ある朝、東京が謎の巨大な「濃霧」に包まれ、一切の通信・交通が遮断される事態を描きました。首都機能が完全に麻痺した際、地方自治体や残された官僚組織はどう動くのか、首都一極集中のリスクと地方分権の重要性を、今日におけるデジタル障害や首都直下地震の議論に先駆けて浮き彫りにしています。