英語頭文字国名リストを精査すると、S(約25カ国)やM(約18カ国)、C(約18カ国)で始まる国が非常に多い一方で、なぜ「O」から始まる国は1つしか存在しないのでしょうか。そこには地名の成り立ちに関わる言語学的な背景があります。
ヨーロッパを中心とする印欧語族において、国や地域を指す言葉は「土地」「山」「川」「部族名」に由来することが大半です。その際、接頭辞や語幹として頻出するのは、ラテン語系の「Terra(土地)」「Mons(山)」やゲルマン語系の「Land(土地)」「Stan(〜の場所)」など、子音や母音の「A」「E」で始まる単語でした。ラテン語やギリシャ語において、「O」で始まる語根は地理的領域を示す名称として定着しにくかった歴史があります。
一方、唯一の該当国であるオマーン(Oman)はアラビア語の「Uman(オマーン地方)」を英語に音写したものです。定住や繁栄を意味する古いアラビア語の語根に由来するとされています。アラビア語の母音表記をラテンアルファベットへ転写する際、「U」ではなく「O」が採用されたことで、奇跡的に「Oから始まる唯一の国」が誕生しました。
なお、国際的に国家承認が分かれている地域を含めると、ロシアが実効支配を主張する「南オセチア(South Ossetia)」などがありますが、これらは国連非加盟地域であり、主権国家としてはオマーンの単独状態が続いています。