全国の新幹線網を見渡しても、在来線との接続がない「新幹線単独駅」は極めて珍しい存在です。東北新幹線では、新花巻駅(JR釜石線と接続)などとは異なり、くりこま高原駅の直下や隣接地に既存のJR在来線は走っていません。最寄りの在来線であるJR東北本線の石越駅や新田駅からは直線距離で数キロメートル離れています。
くりこま高原駅がなぜできたのかという疑問の原点は、1980年代の東北新幹線建設および国鉄民営化前後の地域開発競争に遡ります。当時、宮城県北部の栗原郡(現・栗原市)および登米郡(現・登米市)エリアは、東北本線の主要ルートから外れた地域を多く抱えており、高速交通網からの孤立が懸念されていました。そこで地元自治体や商工会が中心となり、新駅設置を求める大規模な請願運動を展開した経緯があります。
建設計画当初は「栗原登米(くりはらとめ)駅」という仮称が用いられ、両地域の妥協点と広域利用が模索されました。最終的には観光地としての知名度が高い名峰・栗駒山にちなみ「くりこま高原駅」と命名され、1990年3月に開業を迎えました。地方都市の移動手段が鉄道から自家用車へと完全に移行していた時代背景を受け、当初から「車で駅に来て新幹線に乗る」というパークアンドライド構想を前提に設計されたことが、単独駅としての成立を決定づけました。