日用品である歯磨き粉のプロモーションにおいて、なぜサンスターオーラツーはここまでファッショナブルな女優やアーティストを厳選して起用し続けるのでしょうか。その背景には、緻密に計算された消費者心理へのアプローチとマーケティング戦略が存在します。
かつてのオーラルケア市場は、「虫歯予防」や「歯周病対策」といったネガティブ要素の解消(ペイン解消型)を全面に出した機能訴求が主流でした。しかしサンスターは1990年代後半から、働く若い女性(F1層)をメインターゲットに据え、「オーラルケアはリップを塗るのと同じビューティーケアである」というコスメティック発想へと舵を切りました。このパラダイムシフトを成功させるために不可欠だったのが、ファッション誌の表紙を飾るトップモデルや女優たちの説得力です。
資生堂やカネボウといった化粧品メーカーの広告戦略と同様、ユーザーは「この歯磨き粉を使うことで、自分も彼女たちのような清潔感に満ちた口元になれる」という自己同一化の心理を抱きます。特に永野芽郁が演じる日常のふとした歯磨きシーンや、小松菜奈が魅せるコスメポーチからチューブを取り出す所作は、「オフィスや外出先で歯を磨く行為=美意識の現れ」という新しいライフスタイル規範を定着させました。機能的なスペック説明を最小限に抑え、感性に直接訴求するキャスティングこそが、熾烈な日用品市場でOra2を唯一無二のポジションに押し上げている本質的な起用理由です。