排卵期の気持ち悪さを「いつもの生理現象だから」と放置していると、背景に隠れている深刻な病気を見落とす危険性があります。単なる機能的なホルモンバランスの乱れではなく、身体の構造的な疾患(器質的病変)が吐き気を誘発しているケースが存在するためです。
代表的な疾患が子宮内膜症や卵巣チョコレート嚢胞です。卵巣の周囲や骨盤腔内に子宮内膜組織が癒着していると、排卵時に卵胞が破裂する際、周囲の臓器や神経が強く引っ張られて激痛が走り、その激しい痛みが迷走神経反射を引き起こして冷や汗や猛烈な嘔吐を誘発します。
また、肥大化した卵巣が排卵時の衝撃や体動でねじれてしまう卵巣茎捻転(けいねんてん)を起こすと、卵巣への血流が遮断され、急激な下腹部痛とともに激烈な吐き気が現れます。これは一刻を争う緊急手術が必要な病態です。
以下の兆候がひとつでも当てはまる場合は、自己判断を直ちに中止し、速やかに婦人科を受診してください。
- 痛みのレベルが年々強くなっており、市販の鎮痛薬や胃腸薬が全く効かない。
- 吐き気だけでなく、実際に何度も嘔吐してしまい水分補給すら困難である。
- 痛む部位が下腹部の片側だけに集中しており、冷や汗や排便時の激痛を伴う。
- 排卵期が過ぎても胃の不快感や痛みが1週間以上続いている。