腎臓を1つ失った、あるいは生まれつき持たない状態であっても、残されたもう片方の腎臓がその機能を補おうとします。この生体反応を医学用語で「代償性肥大(だいしょうせいひだい)」と呼びます。1つの腎臓がサイズを増大させ、ろ過機能を高めることによって、本来2つで担っていた働きの約70〜80%程度までカバーすることが可能です。
大規模な臨床追跡調査においても、腎臓を提供した生体腎ドナーや先天的な単腎症の方の平均寿命は、一般的な健康人と比較して統計的な短縮が見られないことが明らかになっています。腎機能の指標であるeGFR(推算糸球体ろ過量)の基準値は通常「60mL/min/1.73㎡以上」とされますが、片腎の場合は一時的に40〜50台まで下がるケースがあるものの、残存腎が安定すれば日常生活に支障をきたすことはまずありません。
ただし、1つの腎臓に通常以上の血流と負荷がかかり続ける状態(糸球体過剰ろ過)が長期化するため、加齢に伴う機能低下のスピードにはきめ細かな警戒を払う必要があります。