現在巻き起こっているブームを牽引しているのは、平成の全盛期を知らないはずの10代から20代前半の若者たちだ。彼らにとって、バインダーから1枚ずつ抜き取って友人に手渡し、翌日回収するという一連のプロセスそのものが、未体験のエンターテインメントとして映っている。
この現象に火をつけた最大の要因は、ソーシャルメディア上の拡散力にある。ショート動画プラットフォームのTikTokでは、「友達にプロフ書いてもらった」「平成風デコレーションのやり方」といった動画が数百万回再生を連発。さらにInstagramでは、ぎっしりと手書きで埋め尽くされたシートをあえてフィルムカメラ風のエフェクトで撮影し、ストーリーズにアップする投稿が日常風景となった。デジタルネイティブと呼ばれる世代が主導するこのZ世代トレンドは、バーチャルな繋がりが飽和したことに対する、無意識のカウンターカルチャーとも受け取れる。
誰にでも見られるオープンなネット空間とは違い、手渡しした相手にしか届かないクローズドな安心感。そして、文字の癖やインクの滲みからにじみ出る「その人の本質」。平成レトロカルチャーの象徴として再定義されたこの紙片は、情報そのものよりも、他者と交わした記憶の質を劇的に高めているのだ。