筆箱の中身は、当時の小学生にとって自己表現のすべてでした。文具メーカー各社が工夫を凝らしたアイテムは、教室の中で一大ステータスとして扱われていたのです。
特に男子の憧れの的だったのが、ボタンを押すと各所からハサミや拡大鏡、温度計が飛び出すハイメカ多機能筆箱です。要塞のような重厚感を持つ筆箱を机の上に鎮座させ、無駄にボタンを連打しては先生に注意される男子が後を絶ちませんでした。一方で、削らなくても芯を後ろから差し替えるだけで新しい芯が出てくるロケット鉛筆や、キャップを連結させて槍のように伸ばす遊びも大流行しました。
女子の間では、フルーツやコーラの香りがする匂い付き消しゴムや、ちぎって丸めて巨大化させる「ねり消し」作りが定番化。消字率の低さなどお構いなしに、可愛さや面白さを追求した文具たちが机の上を彩っていました。休み時間になると、HBの鉛筆や下敷きを指で弾いて相手の鉛筆を机から落とす「定規バトル」「バトピツ」に熱中した記憶を持つ人も多いはずです。