パラコート(除草剤)がこれほどまでに恐れられる理由は、その極めて高い毒性と、有効な治療法が存在しない点にある。体内に入ると、肺や腎臓などの臓器を急速に破壊していく。服用直後は比較的軽症に見えても、数日かけて徐々に呼吸困難に陥り、最終的には肺が繊維化して機能しなくなる。患者は意識がはっきりしたまま、息ができなくなっていくのだ。
医療関係者は語る。「パラコート中毒に対する特効薬はありません。できるのは、胃洗浄や活性炭の投与といった対症療法のみ。一度吸収されてしまえば、現代の高度医療をもってしても救命は極めて困難です」。この「確実に死に至る」という冷酷な性質が、犯罪者に悪用される最大の要因となってしまった。