そもそも、この言葉は1950年12月、当時の池田勇人蔵相が参議院予算委員会で放った答弁が発端となっている。実際のニュアンスは「所得の少ない方は麦、所得の多い方は米を食うというような、経済原則に沿ったほうへ持っていきたい」という趣旨だった。
メディアによって「貧乏人は麦を食え」とセンセーショナルに要約され、世論の猛反発を浴びたこの発言。しかし、その本質は「国家が無理に米の価格をコントロールするのではなく、市場の需給と個人の所得に見合った消費をすべきだ」という冷徹な資本主義のルールを説いたものだった。戦後の混乱期において、この発言はあまりにも残酷に響いたが、現在の市場原理主義社会においては、むしろ当たり前の現実として受け入れられている。