彼がこれほどまでにゆで卵を愛した背景には、過酷な戦後を生き抜いた少年時代と、プロ野球選手としてのキャリアが深く関係している。物資が乏しかった昭和の時代、卵は最高のご馳走であり、手軽に摂取できる貴重なタンパク源だった。特に筋肉の修復と疲労回復が求められるアスリートにとって、ゆで卵はまさに「天然のプロテインバー」だったのである。
現代のようにプロテインパウダーやサプリメントが普及していなかった時代、板東は本能的に身体が求める栄養素をゆで卵から摂取していたのだろう。持ち運びが容易で、いつでもどこでも塩を振るだけで食べられる。このシンプルさこそが、過密スケジュールをこなす彼にとっての最適解だったのだ。