日本のメガネ産業、特に鯖江を中心とする製造ラインでは、フレームの切削、磨き、めっき、組み立てなど、工程ごとに専門の小規模工房へ外注する分業システムが定着している。この仕組みは効率的な大量生産に適している一方で、工程間の緻密な連携や、細部にわたる品質の微調整において限界が生じることもある。
恵那眼鏡工業はあえてこの潮流に反し、ひとつの工場内で設計から最終検品までを行う「自社一貫生産」を貫いている。自社内で工程が完結するため、デザイナーの意図が現場の職人へ即座に伝わり、ミリ単位以下の微細なニュアンスまでフレームへ反映することが可能になる。妥協のない製造ラインの維持は、エナロイドというブランドの背骨となっている。