全国47都道府県の中でも、「新潟」「愛媛」「茨城」と並んで難書漢字の代表格とされるのが「岐阜」です。大手教育機関や漢字検定関連の各種アンケート調査でも、都道府県名の手書き正答率において「岐阜」は常にワースト上位にランクインしています。
多くの人が「岐阜」を正確に書けない最大の要因は、2文字目の「阜(ふ)」という漢字の認知頻度の低さにあります。「岐」は「分岐」「多岐」といった熟語で日常的に目にする機会がありますが、「阜」という漢字は現代日本語において単独で使われる場面がほぼ「岐阜」以外に存在しません。
認知心理学の観点から見ると、人間は日常的に視覚インプットと手書きアウトプットを反復していない文字に対して、脳内の検索ログから正確なストロークを呼び出す負荷(認知負荷)が急激に跳ね上がります。「こざとへん(阝)」の元となった原字である「阜」の骨格を正しく認識できていないことが、筆が止まる根本的な原因です。