伊藤剛俊のキャリアを追うと、色と素材に対するアプローチのダイナミックな変化に気づかされます。
重厚な黒釉作品で一躍脚光を浴びた後、彼は純白の「白磁」作品の展開を本格化させました。黒の作品が「光を吸収し、影を強調する」美しさを持つとすれば、白磁の作品は「光を透過し、陰影を柔らかく拡散させる」美しさを持っています。
素材の対比がもたらす表現の拡張
- 黒陶・金属釉期: 威厳、重厚感、ゴシック調の冷徹な美しさを追求。ラインのエッジが最も際立つ。
- 白磁・無釉磁器期: 透光性と薄さを極限まで高め、レース編みのような可憐さと神聖さを共存させる。
- 複合表現期: 器具としての花器、ランプシェード、オブジェなど、暮らしの空間に光と影を直接取り込むプロダクトへの応用。
白と黒。対極にあるふたつの色彩を行き来することで、伊藤の表現の振幅は年々広がり続けています。