感情的な差別表現としての側面だけでなく、法規範の観点からも乞食行為は厳しく制限されています。日本の現行法である軽犯罪法第1条22号には、次のように明文規定が置かれています。
「こじきをし、又はこれをさせた者」は、拘留(1日以上30日未満の身柄拘束)または科料(1,000円以上1万円未満の金銭納付)に処する。
最高裁判所の判例および刑事法の通説において、法的に処罰対象となる「乞食行為」は、以下の要素を満たすものと定義されています。
- 不特定多数の人に対して同情を求めること
- 自己または自己の管理する者の生活・利得のために行うこと
- 対価となる正当な給付(労働や物品の提供)をすることなく、無償で金品の交付を求めること
なぜ法律で禁止されているのか。その根拠は、道路や公共の場における平穏と社会秩序の維持、健康な勤労精神の保護、そして何より児童や弱者を利用した強制物乞い(搾取や虐待)の防止にあります。生活に困窮した国民に対しては、憲法第25条に基づく生活保護制度などの公的扶助で救済するのが法治国家の原則であり、路上や公の場での私的な物乞い行為は法秩序の例外として禁じられているのです。