不祥事が公になる契機の多くは、組織内部からの声、すなわち内部通報・内部告発です。改正公益通報者保護法が施行されて以降、通報窓口の設置や通報者の保護が法的に義務付けられたものの、現場の実態は決して平坦ではありません。
第三者委員会の報告書や関係者の手記に記された生々しい証言によると、現場の担当者が社内の通報窓口に不正の事実を訴えても、担当役員や直属の上司によって握り潰されたり、「会社を裏切る気か」と犯人捜しが行われたりするケースが後を絶ちません。公の場で行われた聞き取り調査では、ある元品質管理担当者が「何度も数値の異常を上司に掛け合ったが、『納期に間に合わないならお前が責任を取れるのか』と恫喝され、改ざんを続けざるを得なかった」と苦悶の告白を残しています。
しかし、現代のデジタル環境において隠蔽工作の真相を永遠に闇に葬ることは不可能です。電子メールのログやチャット履歴を復元するデジタルフォレンジック調査、さらには外部機関への直接告発やSNSを通じた情報拡散により、隠蔽を図った事態そのものが「悪質な組織ぐるみの隠蔽」として白日の下に晒されます。隠蔽を試みた企業は、単なる過失による不正と比べて何倍もの社会的制裁を受ける結果となっています。