この事件は、2011年に公開された園子温監督の衝撃作『冷たい熱帯魚』の元ネタ(原案モデル)となったことでも広く知られています。
俳優のでんでんが怪演した熱帯魚店主・村田幸雄は、関根元がモデルです。映画内で描かれた「圧倒的な話術で相手の懐に入り込み、いつの間にか逃げ場を奪う」「遺体を解体して証拠を隠滅する」といった描写は、実際の事件記録を克明にトレースしています。
しかし、映画と実話の間にはいくつかの決定的な違いが存在します。
- 店舗の業態:映画では「大型熱帯魚店」でしたが、実話は「高級大型犬のブリーダーショップ(アフリカケンネル)」です。
- 被害者・登場人物の構成:映画では主人公(吹越満)が巻き込まれて狂気に染まっていくドラマが強調されましたが、現実の共犯者(元従業員)は関根の暴力的な脅迫と「裏切れば家族も殺す」という心理的恐怖によって拘束され、解体作業を手伝わされていました。
- 結末の展開:映画では壮絶な殺し合いの結末を迎えますが、現実は警察の地道な内偵捜査と共犯者の自供、微細な遺留品の発見によって法的に追い詰められ逮捕に至りました。
映画が描き出したのは、暴力そのものよりも「人間が持つ心理的な弱みにつけ込み、恐怖と罪悪感で人間を完全に操り人形にしてしまうマインドコントロールの恐ろしさ」でした。これは実際の事件現場で起きていた心理的支配の構造と正確に合致しています。