「前髪縮毛矯正の持ち期間は一般的に2〜3ヶ月」と説明されても、「自分は1ヶ月でうねってしまう。美容師の技術不足ではないか」と疑うケースは珍しくない。しかし、前髪縮毛矯正が1ヶ月でうねる理由の多くは、薬剤の定着不良ではなく、前髪特有の環境と構造的要因に起因している。
第一の要因は、前述した「新生毛による根元の立ち上がり」だ。毛先は完全にストレートのままであっても、根元が1cm伸びてくると、生え癖特有の方向へ毛根から髪が押し出される。これにより前髪全体が浮き上がり、毛先が割れたり横へ流れたりする現象が発生する。縮毛矯正が取れたのではなく、「新しいクセ毛が下から押し寄せて全体のシルエットを傾けている」状態だ。
第二の要因は「額の汗と皮脂による湿気ダメージ」である。人間の額(Tゾーン)は皮脂腺が最も密集している部位の一つだ。夏場はもちろん、冬場でも暖房や運動によって微細な発汗が続く。水分が前髪に付着すると、髪の水素結合が一時的に切断され、根元の生え癖が露呈する。特に前髪の内側に汗がこもりやすい体質の場合、施術から数週間でうねりを感じやすくなる。
第三の要因は「誤ったホームケアと過剰な摩擦」だ。お風呂上がりに前髪を濡れたまま放置したり、朝にストレートアイロンを高温(180℃以上)で執拗に通したりすると、縮毛矯正で真っ直ぐに固定されていた毛髪形状が熱変形を起こして歪んでいく。縮毛矯正の持ちを左右するのは、サロンでの施術クオリティ半分、自宅での維持管理半分であるという意識が欠かせない。