公的研修のカリキュラムや講義スライドを眺めるだけでは見えてこないのが、実際の現場における葛藤と手応えです。放課後等デイサービスや入所施設で長年従事してきた支援者たちの手記や取材証言からは、この研修がもたらす現場の意識改革が浮き彫りになります。 首都圏で放課後等デイサービスを展開する運営法人のベテラン指導員は、専門特番のインタビューや自著において次のように語っています。 「かつての現場は『経験と勘』、悪く言えば職員の力技や我慢比べでパニックに対処していました。頭を壁に打ち付ける自傷や激しい他害に対して、ただ羽交い締めにして耐えるしかなかった。しかし研修で『行動には必ず理由(機能)がある』という行動分析の基礎を学んだ瞬間、目の前の暗闇が晴れるような衝撃を受けたのです」 研修では、行動の直前に何が起きたか(先行事象)、どのような行動をとったか(行動)、その結果何を得たか・回避できたか(後続事象)を客観的に記録する「ABC分析」を徹底的に叩き込まれます。 ネット上の福祉コミュニティやSNSに投稿された受講者の声を見ても、実践的な手応えを語る声が目立ちます。
「グループワークで他事業所の支援手順書を見たとき、自分の事業所がいかに『声かけ』という曖昧な指示に頼っていたかを痛感した」(20代・放課後等デイサービス児童指導員)
「利用者さんが暴れる原因が、部屋の蛍光灯のチカチカや隣室の物音という感覚過敏にあったと気づけた。机の配置を変え、視覚的なスケジュールカードを用意しただけでパニックが激減した」(30代・生活介護支援員)
一方で、現場の過酷さを物語る意見も決して少なくありません。「支援手順書を作っても、人手不足でその通りにチーム全員が動けないもどかしさがある」「頭では理解していても、実際に突然噛みつかれたり物を投げられたりした際の恐怖心は消えない」といった告白も寄せられています。 研修は魔法の杖ではなく、「身体拘束に頼らず、環境の構造化によって不適応行動を未然に防ぐ科学的アプローチの共通言語」を手に入れるための第一歩に過ぎないという実態が、現場検証から見えてきます。