妾の漢字の成り立ちを古代文字(甲骨文字や金文)から紐解くと、極めて過酷な歴史的背景が浮かび上がってきます。
「妾」の上部は「辛」、下部は「女」から構成されています。「辛」という文字は、古代中国において奴隷や罪人の額に入れ墨を施すために用いられた「先端の鋭い入墨用の針」を象形したものです。辛い(つらい・からい)という感情や味覚を表すようになったのも、この刑罰の激痛が根底にあります。
つまり「妾」という会意文字は、「刑罰の針を突きつけられて服従させられた女性」、すなわち「戦争の捕虜や罪によって身分を落とされた女奴隷」を直接的に意味していました。古代の過酷な階級社会において、上位者に仕える身分の低い召使い女性を指していた文字が、のちに「正妻に仕える第二の妻」や「へりくだる際の一人称」へと転用されていったのです。