この独創的な一杯は、机上のメニュー開発から生まれたものではありません。味噌カレー牛乳ラーメン発祥の歴史は、昭和の時代に若者たちの自由な好奇心と、それを受け止めた店主の温かい人柄から幕を開けました。
ルーツとなったのは、札幌ラーメン横丁で腕を振るった故・佐藤清(さとう きよし)氏が1968年に青森市松原へ開いた「味の札幌」です。札幌ラーメンを青森に定着させようと奮闘していた佐藤氏は、店に通う中高生たちと家族のように親しく交流していました。
1970年代前半、常連の学生たちの間で「ラーメンにさまざまな調味料や飲料を混ぜて食べる」という奇妙なカスタマイズ遊びが流行します。ケチャップやマヨネーズ、コーラなど、ありとあらゆる組み合わせが試されるなか、ある日「味噌ラーメンにカレー粉と牛乳を入れたら驚くほど美味しくなった」という発見がもたらされました。
学生たちの熱烈なリクエストを受けた佐藤氏は、単なる悪ふざけで終わらせず、プロの料理人として本気で味の調整に着手します。スパイスの配合や牛乳の投入比率、味噌ダレとの親和性を約3年かけて徹底的に研究し、1978年に正式メニューとして販売を開始しました。こうして若者の遊び心と職人の探求心が結実し、現在では誰もが認める青森ソウルフード、そして代表的な青森市ご当地グルメとして君臨するに至りました。