この神社の起源を紐解くには、遠い太古の昔まで時計の針を戻さなければならない。かつて一帯が「安方の入江」と呼ばれた浅瀬だった時代、この地を治めていたのが豪族の善知鳥安方(うとうやすかた)だ。彼が海の守護神を深く崇敬し、小さな祠を建立したことこそが、現在の青森市という巨大な街の原点とされている。
主祭神として鎮座するのは、海上安全と大漁旗を象徴する宗像三女神(多紀理姫命・市寸島姫命・多岐津姫命)である。北前船が津軽海峡を行き交い、交易の要所として栄えた時代から、海を渡る男たちはこの社に命を託してきた。日本の伝統文化である神道において、水と海を司る女神たちの力は絶大だ。青森県神社庁の記録を繙いても、古来より地域全体の繁栄を支え続けてきた最重要社格の一つとして並々ならぬ尊崇を集めている。