ここに来たら絶対に外せないのが、富山が誇る銘酒とのペアリングだ。「勝駒」「満寿泉」「羽根屋」をはじめとする地酒が、魚の旨味を何倍にも膨らませる。特に、濃厚な肝を添えたカワハギの薄造りと、キレのある純米生原酒の組み合わせは、言葉を失うほどの調和を見せる。
そして、常連たちの間で囁かれるのが、メニュー表には載らない「裏メニュー」の存在だ。その日の水揚げ状況と仕込みのタイミングが完全に合致した時のみ登場する特別な皿が存在する。たとえば、極上のノドグロの骨から取った濃厚な出汁で炊き上げる小鍋や、水揚げされたばかりのホタルイカを特製の昆布出汁でさっとくぐらせるしゃぶしゃぶなどがそれにあたる。
この裏メニューに巡り合うためのルートは極めてシンプルだが確実な方法がある。席に着いた際、店員へ形式的に注文するのではなく、「今日の仕込みで一番面白いもの、あるいは魚の端材で特別な小鉢はありますか」とストレートに尋ねることだ。料理人の探究心に応える客だと伝わった瞬間、厨房の奥から特別な一皿が運ばれてくる。