区分求積法を克服する決定的な第一歩は、数式を追う前に「図形的な意味」を網羅することです。区分求積法の土台にあるのは、19世紀の数学者ベルンハルト・リーマンが定式化した「リーマン和(Riemann sum)」の考え方です。
区間 $[0, 1]$ において、連続関数 $y = f(x)$ と $x$ 軸、直線 $x=1$ で囲まれた部分の面積を求める場面を想定します。この区間を $n$ 等分すると、分割された微小区間の幅はすべて $\Delta x = \frac{1}{n}$ となります。
各分割区間の右端の $x$ 座標は、順に $\frac{1}{n}, \frac{2}{n}, \dots, \frac{k}{n}, \dots, \frac{n}{n}(=1)$ です。これらを高さとする $n$ 個の長方形を作ると、第 $k$ 番目の長方形の面積は「横幅 $\times$ 縦幅」すなわち次式で表されます。
$$\text{長方形の面積} = \frac{1}{n} \cdot f\left(\frac{k}{n}\right)$$
これら $n$ 個の長方形の面積を足し合わせた総和が、以下のシグマ記号による表現です。
$$S_n = \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{n} f\left(\frac{k}{n}\right) = \frac{1}{n} \sum_{k=1}^{n} f\left(\frac{k}{n}\right)$$
ここで分割数 $n$ を無限大($n \to \infty$)に飛ばすと、長方形の幅 $\frac{1}{n}$ は極限まで細くなり、長方形群のギザギザした上端の凹凸は滑らかな曲線 $y=f(x)$ に完全に一致します。これが、次の区分求積法の基本公式が成り立つ幾何学的証明の核心です。
$$\lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} \sum_{k=1}^{n} f\left(\frac{k}{n}\right) = \int_{0}^{1} f(x) \, dx$$
数学的な厳密性においては、各区間の左端を高さとする長方形の和 $s_n = \frac{1}{n} \sum_{k=0}^{n-1} f\left(\frac{k}{n}\right)$ と右端を高さとする長方形の和 $S_n$ で真の面積 $S = \int_0^1 f(x)dx$ を挟み込み、「はさみうちの原理」を適用することで極限値の一致が証明されます。