結論から申し上げますと、昨シーズンから持ち越した古い灯油は基本的に使えません。灯油はガソリンや軽油と同様に精製された石油製品であり、時間の経過、空気中の酸素、紫外線、温度変化によって徐々に酸化・変質していきます。一般的に灯油の推奨使用期限は「購入したシーズン内(約3〜6カ月)」と定められており、1年近く放置された燃料は製品本来の燃焼性能を失っています。
特に近年の石油ファンヒーターは、精密な電子制御と微細なノズルによって超高効率な燃焼を実現しています。そのため、わずかでも酸化・変質した灯油が混入すると、燃料を気化させる「気化器(バーナー)」の内部に不純物が焼き付き、着火不良や燃焼途中の自動消火(エラー停止)を頻繁に引き起こします。
一方、芯で燃料を吸い上げるクラシックな反射式石油ストーブの場合、「古い灯油でも燃えた」という体験談がネット上で散見されます。しかし、これも極めて危険な錯覚です。芯にタールが付着して芯が固まり、いざという時に緊急消火レバーが作動しなくなったり、不完全燃焼による一酸化炭素中毒や激しい黒煙を発生させる重大な事故につながるため、器具の種類を問わず持ち越し灯油の使用は避けるべきです。